スカイジェット・メディカル様の事業推進支援を開始しました

地域医療とは?意味・役割・課題とこれからの医療提供体制をわかりやすく解説

地域医療とは|意味・役割・課題と医療提供体制を解説

地域医療とは、地域で暮らす人が必要なときに適切な医療を受けられるよう、地域の医療機関や医療従事者、行政、介護・福祉関係者などが連携して医療提供体制を支える考え方です。

地域によって人口構成、医療機関の数、医師や専門医の配置、交通事情などは大きく異なります。そのため、地域医療では全国一律の仕組みではなく、それぞれの地域の実情に応じて医療資源をどのようにつなぎ、必要な医療を継続して提供するかが重要になります。

本記事では、地域医療の意味や役割、地域医療構想との違い、現在の主な課題、遠隔医療を含む今後の方向性について、厚生労働省の公表情報も確認しながら分かりやすく解説します。

目次

地域医療とは

地域医療とは、特定の病院や診療所だけで医療を完結させるのではなく、地域全体で必要な医療を支える考え方です。

病院、診療所、歯科医院、薬局、訪問看護、介護・福祉サービス、行政などがそれぞれの役割を担い、必要に応じて連携することで、地域住民が適切な医療につながる仕組みをつくります。

地域によって必要とされる医療は異なります。都市部では医療機関が多くても役割分担や患者集中が課題になることがあり、地方やへき地では医師不足や医療機関へのアクセスが課題になることがあります。

そのため地域医療では、「医療機関を増やすこと」だけではなく、限られた医療資源をどのように配置し、役割分担し、連携させるかという視点が重要になります。

地域医療の目的と役割

地域医療の大きな目的は、住んでいる地域によって必要な医療を受けにくくなる状況をできるだけ減らし、地域の実情に応じた持続可能な医療提供体制をつくることです。

厚生労働省の医療計画では、地域の医療機関が担う機能を明確にし、医療機関同士の連携体制を構築することが求められています。現在の第8次医療計画では、がん・脳卒中などの5疾病、救急・災害・へき地・周産期・小児・新興感染症の6事業、在宅医療について、地域ごとの医療提供体制を整備することが基本となっています。

主な役割として、次のようなものがあります。

  • 必要な医療へのアクセスを確保する
  • 医療機関の役割分担と連携を進める
  • 医師や医療従事者の偏在に対応する
  • 救急、在宅、へき地医療など地域固有の課題に対応する
  • 医療と介護・福祉との連携を進める
  • 将来の人口構造や医療需要の変化に対応する

地域医療と地域医療構想の違い

「地域医療」と「地域医療構想」は同じ意味ではありません。

地域医療は、地域住民に必要な医療を地域全体で支える幅広い考え方です。

一方、地域医療構想は、将来の人口構造や医療ニーズの変化を見据え、地域で必要となる医療提供体制について都道府県が関係者と協議しながら策定する制度的な枠組みです。

厚生労働省は、2040年に向けた地域医療構想について、中長期的な人口構造や医療ニーズの変化を見据え、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制を確保するものとしています。病床数だけでなく、医療機関の機能や役割分担、連携について地域の関係者が協議していく仕組みです。

なお、地域医療構想は「病床削減」や「病院の統廃合」そのものを目的とする制度ではありません。厚生労働省も、病床削減や医療機関の統廃合ありきではなく、地域での自主的な協議を踏まえて取り組むものと明記しています。

2040年に向けた地域医療構想|厚生労働省

地域医療が必要とされる背景

地域医療が重要になっている背景には、人口減少、高齢化、医療需要の変化、医療従事者の偏在などがあります。

特に今後は、地域によって人口構成や高齢化の進み方が大きく異なるため、従来と同じ医療提供体制をそのまま維持することが難しい地域も増えると考えられます。

厚生労働省の2040年に向けた地域医療構想でも、85歳以上の高齢者の増加や人口減少を見据え、患者が必要な医療・介護を受けながら生活でき、同時に医療従事者も持続可能な働き方を確保できる医療提供体制を目指しています。

したがって、地域医療では単に現在の医療機関を維持するだけでなく、将来の人口や患者ニーズを踏まえて、医療資源の配置や連携方法を見直していく必要があります。

地域医療が抱える主な課題

地域医療の課題は地域によって異なりますが、全国的に共通しやすいテーマとして、次のようなものがあります。

医師・専門医の地域偏在

医師数が全国的に増えても、すべての地域・診療科に均等に配置されるわけではありません。

厚生労働省は、都道府県や二次医療圏ごとの医師の多寡を比較するため「医師偏在指標」を公表し、医師確保計画などを通じて偏在対策を進めています。2026年にも第8次医師確保計画の後期ガイドラインが改正されています。

医療機関へのアクセス

山間部、離島、人口の少ない地域などでは、医療機関までの距離や交通手段そのものが医療へのアクセスを左右します。

厚生労働省は、へき地医療について独立した医療政策として体制整備を進めており、へき地医療拠点病院やへき地診療所などを含む支援体制を設けています。

へき地医療について|厚生労働省

医療機関同士の役割分担

すべての医療機関が同じ機能を持つ必要はありません。

日常的な診療を担う医療機関、高度・専門医療を担う病院、急性期医療、回復期、在宅医療など、それぞれの役割を整理し、必要なときに患者を適切な医療へつなぐことが重要です。

地域医療では、医療機関の数だけでなく「地域全体として必要な機能がつながっているか」という視点が求められます。

医療従事者の確保と持続可能性

人口減少が進む地域では、患者だけでなく医療従事者の人口も減少します。

そのため、医師を単純に増やすだけではなく、医療機関間の連携、業務分担、ICTの活用などを組み合わせながら、限られた人材で医療提供体制を維持することが重要になります。

地域医療における医療機関の連携

地域医療では、一つの医療機関ですべての医療を提供するのではなく、それぞれの医療機関が役割を分担し、患者の状態に応じて連携することが重要です。

例えば、

かかりつけ医
↓
地域の病院
↓
大学病院・専門医療機関
↓
回復期・在宅医療
↓
地域での生活

というように、患者の状態や必要な医療に応じて複数の医療機関が関わります。

厚生労働省の医療計画でも、地域の医療機関がどのような役割を担うかを明らかにし、医療連携体制を進めることが求められています。

地域医療と在宅医療・介護の関係

高齢化が進む地域では、病院で治療する医療だけでなく、退院後の生活を支える在宅医療や介護との連携も重要になります。

国の基本方針でも、入院医療だけでなく、外来医療や在宅医療を含む「治し、支える医療」と、介護、住まい、生活支援を地域でつなぐことが重視されています。

地域医療を考える際には、「どの病院で治療するか」だけではなく、「治療後にどこで、どのように生活を続けられるか」まで視野に入れる必要があります。

遠隔医療は地域医療をどう支えるのか

遠隔医療も、地域医療を支える手段の一つです。

ただし、遠隔医療そのものが地域医療の課題をすべて解決するわけではありません。

重要なのは、まず地域にどのような医療資源があり、何が不足しているのかを整理したうえで、遠隔医療が有効な部分に活用することです。

例えば、地域の医療機関と大学病院・専門医を通信・映像技術でつなぐことで、専門的な医療技術支援や知見共有を行える可能性があります。

医師を常時派遣することが難しい地域でも、既存の医療機関と専門医療機関をつなぐことにより、地域の医療提供体制を補完できる場合があります。

遠隔医療について詳しく見る

これからの地域医療で重要になること

これからの地域医療では、「医療資源を増やす」ことだけでなく、「今ある医療資源をどうつなぐか」という視点がさらに重要になります。

人口減少や高齢化、医療従事者の偏在などを考えると、すべての地域に同じ医療機能を配置することは現実的ではありません。

そのため、

地域の医療課題を把握する
↓
必要な医療機能を整理する
↓
医療機関の役割を整理する
↓
医療機関・行政・介護等をつなぐ
↓
必要に応じてICT・遠隔医療を活用する
↓
継続して運用できる体制をつくる

という考え方が重要になります。

地域医療は、単に病院や診療所を配置することではなく、「地域で必要な医療を継続して届けられる仕組みをつくること」と捉えると理解しやすいでしょう。

地域医療についてよくある質問

FAQ

地域医療について、意味や地域医療構想との違い、主な課題、遠隔医療との関係など、よくある疑問を分かりやすく解説します。

地域医療とは簡単にいうと何ですか?

地域医療とは、地域で暮らす人が必要な医療を受けられるよう、病院や診療所、医療従事者、行政、介護・福祉関係者などが連携して地域全体で医療を支える考え方です。

地域医療と地域医療構想は同じですか?

同じではありません。地域医療は地域全体で必要な医療を支える幅広い考え方です。一方、地域医療構想は、将来の人口構造や医療ニーズを踏まえ、都道府県が地域の医療提供体制について関係者と協議しながら策定する制度的な枠組みです。

地域医療の主な課題は何ですか?

地域によって異なりますが、医師・専門医の偏在、医療機関へのアクセス、医療機関同士の役割分担、医療従事者の確保、在宅医療や介護との連携などが代表的な課題です。

遠隔医療は地域医療に役立ちますか?

地域によっては有効な手段になります。特に専門医が不足する地域などで、地域の医療機関と専門医療機関をつなぎ、専門的な知見や医療技術を共有する仕組みとして活用できる可能性があります。ただし、地域の課題や既存の医療体制を整理したうえで導入することが重要です。

まとめ|地域医療とは地域全体で医療を支える仕組み

地域医療とは、地域住民が必要なときに適切な医療を受けられるよう、医療機関、医療従事者、行政、介護・福祉関係者などが連携し、地域全体で医療を支える考え方です。

人口減少や高齢化、医師・専門医の偏在などにより、地域ごとの医療課題は今後さらに異なっていきます。

そのため、地域医療では新しい医療機関や技術を単純に増やすのではなく、地域にある医療資源を把握し、それぞれの役割を整理し、必要な医療へつながる仕組みをつくることが重要です。

地域医療を持続可能なものにするためには、医療機関同士の連携に加え、行政、介護・福祉、遠隔医療や通信技術なども含め、地域の実情に応じた医療提供体制を構築していくことが求められます。

アップストリーム合同会社では、地域が抱える医療課題を起点に、医療機関・専門医・医療関連企業・自治体等との連携や、遠隔医療・通信技術等を活用した医療提供体制づくりを支援しています。

地域医療の支援内容を見る

本記事の情報について

本記事は、厚生労働省が公表する医療計画、地域医療構想、医師確保対策、へき地医療等の情報を確認し、アップストリーム合同会社の医療・ヘルスケア領域における事業開発、医療機関への導入支援、営業・販路開拓等の実務経験を踏まえて作成しています。

地域医療に関する制度や医療提供体制は変更される場合があります。最新の制度・政策については、厚生労働省および各都道府県等が公表する情報をご確認ください。

執筆者:松村 厚

アップストリーム合同会社 代表社員

事業開発、営業・販路開拓、販売チャネル構築、医療・歯科領域の事業承継・M&A等の経験を経て、2026年にアップストリーム合同会社を設立。現在は医療コンサルティングを軸に、医療・ヘルスケア領域の事業推進を支援しています。

代表者プロフィールを見る

目次